相変わらずクラシックスタイルのバイクが人気だ。
しかしひと口にクラシックスタイルと言ってもトライアンフやハーレーのようなトラディショナルなクラシックスタイルと、70年~80年代の日本車をイメージした“ジャパニーズネオクラシック”の主に2つの系統がある。シングルやツインエンジンを搭載するトラディショナル系がクラシックスタイルの王道ではあるが、自分たちが“現役”だった頃の国産4気筒も「旧車」と呼ばれるクラシックの部類となり、多くのレトロモデルのモチーフになって久しい。
これまでのクラシックスタイルは、丸いヘッドライト、ダブルクレードルフレーム、そして2本サスといった、使用パーツの縛りによる暗黙のルールがあったが、カワサキZ900RSやホンダCB1000Fがそれを打ち破ったことによってネオクラシックは次のフェーズに入った。しかし当時のカタチを再現するためにタンクの裾幅を強引に広げるなど、過去の名車の姿を模倣していることに変わりはない。伝統的で変化を是としないトラディショナルスタイルならともかく、ジャパニーズネオクラシックは、このまま過去のデザインを踏襲していくだけでいいのだろうか。

SUZUKI GSX-8T
総排気量:775㎤
エンジン:水冷4サイクル2気筒/DOHC・4バルブ
装備重量:201kg
最高出力:59kW(80ps)/8,500rpm
最大トルク:76Nm(7.7kgm)/6,800rpm
燃料消費率(WMTCモード値):23.4㎞/L
(クラス3、サブクラス3-2)1名乗車時
先々月号の「次世代ジャーナリストがいく」(※)の記事で「概念痛車」という存在を知った。推しのキャラクターをダイレクトにクルマに描くのではなく、そのキャラクターのイメージをコンセプト(概念)に落とし込んで表現する痛車のことだ。直接的な方法でアピールする訳ではないので制作者の考察やセンスを問われるが、表現の方法は大きく広がっていく。これと同じようにネオクラシックバイクも、かつての名車を咀嚼して新しい解釈を構築することが必要な段階に来ているように思う。多くの人たちが、あの頃のデザインを欲していることは分かっているが、このままではバイクデザインに対する日本のユーザーの意識が“進化”することはないだろう。
こういった状況の中でヤマハXSRシリーズやスズキGSX-8Tは、ジャパニーズネオクラシックの分野を改革し始めている。モチーフにする過去の名車のデザインに囚われ過ぎず、継承すべきポイントを抑えながら次世代のジャパニーズネオクラシックを提案しているのだ。商品としてバイクを売ることだけを考えたら過去の模倣に徹した直説法をとるべきだが、それを安易に行わないところにメーカーの姿勢やデザイナーのプライドが垣間見える。バイクのデザインを芸術的な視点で捉えれば、過去の作品に対しての敬意を新しい作品に昇華することが後任者の責務になるはずだ。この両車は日本の名車を再解釈した本来の意味での継承者かもしれない。

SUZUKI GSX-8TT
総排気量:775㎤
エンジン:水冷4サイクル2気筒/DOHC・4バルブ
装備重量:203kg 最高出力:59kW(80ps)/8,500rpm
最大トルク:76Nm(7.7kgm)/6,800rpm
燃料消費率(WMTCモード値):23.4㎞/L
(クラス3、サブクラス3-2)1名乗車時

YAMAHA XSR900 GP ABS
総排気量:888㎤
エンジン:水冷4ストローク直列3気筒/DOHC・4バルブ
車両重量:200kg
最高出力:88kW(120ps)/10,000rpm
最大トルク:93Nm(9.5kgm)/7,000rpm
燃料消費率(WMTCモード値):21.1㎞/L
(クラス3、サブクラス3-2)1名乗車時

YAMAHA XSR900 ABS
総排気量:888㎤
エンジン:水冷4ストローク直列3気筒/DOHC・4バルブ
車両重量:196kg
最高出力:88kW(120ps)/10,000rpm
最大トルク:93Nm(9.5kgm)/7,000rpm
燃料消費率(WMTCモード値):20.9㎞/L
(クラス3、サブクラス3-2)1名乗車時

YAMAHA XSR700 ABS
総排気量:688㎤
エンジン:水冷4ストローク直列2気筒/DOHC・4バルブ
車両重量:188kg
最高出力:54kW(73ps)/8,750rpm
最大トルク:67Nm(6.8kgm)/6,500rpm
燃料消費率(WMTCモード値):24.6㎞/L
(クラス3、サブクラス3-2)1名乗車時

神尾 成/Sei Kamio
