新たなるオトナの選択肢~復活した三菱パジェロ

文・世良耕太

新型パジェロがいよいよ登場する。

ランクルと真っ向から勝負することになる新型パジェロは、どのようなクルマなのか。本誌で何度も三菱の記事を書いてきた世良耕太が解説する。

新型パジェロ

国内販売終了から7年、ファン待望の復活を果たした新型パジェロ。かつてダカール・ラリーを制した名車は、MITSUBISHIブランドのフラッグシップSUVとして、トライトン譲りの高剛性ラダーフレームに最新の四輪制御技術S-AWCを融合。伝統の悪路走破性を受け継ぎながら、洗練された走りと先進性、ラグジュアリーさを備えた、新世代のパジェロへと進化した。
車両本体価格:約620万円~ 
全長×全幅×全高(mm):4.920×1,925×1,910
ホイールベース:2,870mm
最低地上高:230mm 
エンジン:2.4Lクリーンディーゼルターボ 
最大トルク:480Nm
駆動方式:4WD

 三菱自動車のパジェロが復活した。国内向けモデルは2019年に生産を終了しているので、7年ぶりの復活となる。5代目にあたる新型パジェロの先行予約受付は10月1日に始まっている。

 なぜ、7年ものブランクの後にパジェロを復活させたのか。その理由を三菱側は9月2日に都内で行った世界初公開の場で「ブランドイメージの強化」と説明した。

 「三菱自動車のブランドをもう一度しっかり強化し、お客様に認めていただきたい。その思いを最もわかりやすく、かつストレートに表現できるモデルがパジェロだと考えました。三菱自動車をイメージしたときに皆さんが真っ先に思い浮かべるクルマはパジェロ。そのパジェロのレベルを一段引き上げて勝負していきます」

 国内のブランドでパジェロと真っ向勝負する形になるのは、トヨタ・ランドクルーザー250だろう。パジェロと同じラダーフレームのシャシーを持ち、ディーゼルエンジンの設定があり、ボディサイズが近く(新型パジェロ:全長4,920mm×全幅1,925mm、ランクル250:4,925mm×全幅1,980mm)、3列7人掛けシートを備えている。

 2024年に15年ぶりにフルモデルチェンジしたランクル250は代を重ねるごとに高級・豪華路線に寄っていった反省から、「質実剛健なオフローダー」という本来の役割に原点回帰した。現代的でスタイリッシュなエクステリアを備えているし、オンロードでの快適性は担保しているものの、軸足はあくまでオフロードに置いており、信頼性・耐久性・悪路走破性の面で進化させた。悪路での扱いやすさを向上させるため、ラグジュアリー志向のランクル300とプラットフォームを共有しながら、フロントのオーバーハングを短縮しボディの四隅をそぎ落とした。

 1982年に初代がデビューしたパジェロも悪路走破性の高さは最大の特徴であり、新型もその特徴を受け継いでいる。三菱独自の4WDシステムであるスーパーセレクト4WD-Ⅱは3代目パジェロ(1999年)で初採用したシステムを進化させて継承。これに三菱独自の車両運動統合制御システムであるスーパーオールホイールコントロール(S-AWC)を組み合わせ、「オフロードで頼もしい走破性を発揮しながら、オンロードでは運転しやすく上質な乗り心地を提供」するという触れ込みだ。

 そう、新型パジェロは伝統の悪路走破性を最新の技術でレベルアップさせただけでなく、そこに上質さを付加したのが特徴。高級・豪華路線に寄りすぎた反省から原点回帰したのがランクル250なら、高級・豪華路線にシフトしたのが新型パジェロである。ピックアップトラックのトライトン用をベースとするラダーフレームを採用しながら要所を強化して剛性を高めたり、リヤサスペンションをリーフスプリング+リジッドからコイルスプリング+5リンクリジッドに変更したりしたのは快適性向上のため。背面タイヤが歴代パジェロの特徴だったが、新型ではスペアタイヤを床下に配置。全長は先代と同等としながら、背面タイヤをなくしたぶんを室内空間の拡大に生かしたのも、高級・豪華路線ゆえの発想である。各国マーケットのニーズを汲み取ったうえでの判断だったそう。

 新生パジェロは歴代で培ってきた悪路走破性の高さを受け継ぎながら、高級感や豪華さを付加しグローバルで勝負する。タイ生産となるが、メインマーケットは生まれ故郷の日本に位置付けている。

初代(1982年~)

「フォルテ4WD」をベースに、本格クロスカントリー4WDとして誕生。1987年に上級グレード「エクシード」が加わると、RVブームを追い風に人気が急上昇した。

1983年パリ・ダカール・ラリー参戦

パジェロ誕生の翌年、パリダカラリーの市販車無改造クラスに出場し、クラス優勝(総合11位)を飾った。このリザルトが欧州を始めとする世界でパジェロを有名にした。

2代目(1991年~)

RVブーム真っ只中でのモデルチェンジ。高価格帯ながら、国内の新車車種別月間販売台数の首位を普通車から奪うなど、その人気ぶりが伺える。

2代目 EVOLUTION(1997年)

専用のワイドボディに、280馬力の3.5リッターV6MIVECエンジンを搭載したモンスターマシン。パリダカを走る為につくられたといっても過言ではない。当時の定価は374万円だった。

3代目(1999年~)

RVブームが去った後に掲げられた開発テーマは「新世代の世界基準パジェロ」。高級&快適なSUV志向に沿うべく、乗用車並みの快適性とトヨタ・ランクルに迫る車格を備えた。

4代目(2006年~)

足回りやパワートレインなど、定評のある基本メカニズムは先代から踏襲。成熟さを増したプレミアム感の高いオールラウンドSUVへと成長。’08年にはディーゼル車が復活している。

ファイナルエディション(2019年)

37年にわたる国内販売の最後を飾った特別仕様車。人気グレード「EXCEED」をベースに、人気オプションや本革シートなどを標準装備。700台限定で販売され、2019年8月に国内向け生産を終了した。

世良耕太/Kota Sera

1967年東京生まれ。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。編集者・ライターとして自動車、技術、F1をはじめとするモータースポーツの取材に携わる。10年間在籍したあと独立。モータースポーツや自動車のテクノロジーの取材で欧州、その他世界中を駆け回る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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