編集前記 Vol.26 ドライブに出かける理由

文・神尾 成

今月号で久しぶりにドライブページを復活させた。

 男性と女性のページを分けていた頃は毎月のように女性版でドライブ記事を掲載していたのだが、ページの区分けをなくして編成を変えたことや、コロナ禍の影響もあって記事化しなくなっていたのだ。しかしクルマやバイクを乗り続けることに意味を見出そうとすると、必然的に走り出す“目的”が欲しくなってくる。それならシンプルにドライブへ出かける理由を提案できないかと考えたのである。

 一般的にクルマでのドライブやバイクのツーリングに出かける目的の多くは「観光」という言葉に集約されると思う。名所旧跡や景色の良い場所を巡って、その地域の味覚を味わったり、温泉に入るといったようなことだ。他にもスキーやキャンプなど遊ぶことが目的となるドライブや、同好の士との“ミーティング”へ参加するために出かけることもあるだろう。また最近では「聖地巡礼」といわれるアニメやドラマの舞台となった場所を訪ねて写真を撮る“SNS観光”も増えてきた。

 しかし年齢を重ねると、これまでの経験から予想される渋滞や、後の疲れを想像して出かけること自体が億劫になってしまうことが多いのではないだろうか。かくいう自分もこの数年はドライブらしいドライブや、ツーリングといえるほどバイクで遠くへは行っていない。観光という目的だけでは出かけるに値する“心の動き”を得られなくなってしまったのだ。

 それならいっそのこと自分たちの心が動くドライブのためのコンテンツを作り出そうということになり、「伊豆の踊り子~あれから14年」を記事化するにいたったのである。これまでドライブ記事は女性版に掲載していたこともあって、本誌の若林葉子をはじめ、岡さゆりさんやまるも亜希子さんなど、ほとんど女性陣に執筆をお願いしてきたが、今後は女性という枠に捉われず男性にも書いてもらいたいと考えている。そしてこのページが“読み物”として読者の心を動かして、ドライブやツーリングへ出かけるきっかけになってくれたら嬉しい

神尾 成/Sei Kamio

2008年からaheadの、ほぼ全ての記事を企画している。2017年に編集長を退いたが、昨年より編集長に復帰。朝日新聞社のプレスライダー(IEC所属)、バイク用品店ライコランドの開発室主任、神戸ユニコーンのカスタムバイクの企画開発などに携わってきた二輪派。1964年生まれ60歳。

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