オンナにとってクルマとは vol.41 オンナのオートサロン考

 カップルやファミリーに混じって女の子同士で来ていたり、毎年、東京オートサロンは客さんの女性比率が高いと感じる。展示物を理解するのにクルマの知識が求められたり、ちょっとビジネスの香りがしたりというモーターショーとは違って、東京オートサロンはクルマのことなんて知らなくても、ビジュアルだけでけっこう楽しめる。そこが、女性を惹きつける大きな要素かなと思っている。

 でも、それだけじゃない。まだきっと、いろいろな要素があるはずだ。私は今年も会場に連日通い、女の子がいったいどんな展示物やショーに関心を持つのか、ついつい観察をしてしまった。

 乗用車のドアをガルウィング式に変えたカスタムカーの前で、カップルが話していた。「これスゲー、やりてー」と言う彼氏にすぐさま、「はぁ? こんなのいらないっしょ。降りるの恥ずかしいわ」とツッコんだ彼女だったが、今度はシートがフルレザーでスワロフスキー、ファーまでついているクルマを見つけ、「やばい、これかわいい!」と目を輝かせていたのが興味深い。またある女の子ふたり組は、ミニバンの室内がL字型のゴージャスなソファになっているカスタムカーが気に入った様子だ。「家にこれあったらよくない?」「いー! 毎日ここでみんなと飲みたい」。

 こうして観察していると、女の子が惹かれるポイントがなんとなく、見えてくる。ひとつは、「意外性」だ。彼女が日頃から好きなもの、かつ彼女の常識ではおよそクルマと結びつかなかったものが、ステキに融合しているとキュンとする。スワロフスキーしかり、ゴージャスソファしかり。そしてもうひとつ、「夢を叶えてくれるもの」にも反応がいい。プリンセス、セレブ、ちょっと非日常の世界などを叶えてくれるクルマに、女は弱い。

 あとは、キャンギャルのお姉さんたちを女性客が敬遠するかと言えば、そうばかりではないのも意外な事実だ。嫌いなのはカメラ小僧だけであって、「あのお姉さんかわいい」とか「あのコスチュームいいね」なんて話しているのを聞くと、やっぱり女だってきれいなお姉さんは好きだし、実はコスプレも嫌いじゃない。女のオートサロン考には、まだまだ新しい発見がありそうで、それをクルマづくりやサービスにも応用したら、きっと面白いに違いない。

文・まるも亜希子

Akiko Marumo

自動車雑誌編集者を経て、現在はカーライフジャーナリストとして、雑誌やトークショーなどで活躍する。2013年3月には、女性の力を結集し、自動車業界に新しい風を吹き込むべく自ら発起人となり、「PINK WHEEL PROJECT」を立ち上げた。

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