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シェードを上げるとサンバイザーになり、下げればスモークシールドとして機能する。ふたつの機能を持つオプションパーツの『プロシェードシステム』がアライヘルメットから発売された。取り付けはとても簡単。フルフェイスヘルメットの既存のシールドを外して、『プロシェードシステム』に交換するだけで済んでしまう(*)。
早速ヘルメットに取り付けてシェードを「ピーク」と呼ばれる位置にセットして早朝の道を走り始めた。なるほど、まさしくクルマのサンバイザーと同じように日差しを和らげてくれる。以前からツーリングに出掛ける際は、タンクバッグに必ず「替えシールド」を忍ばせていた。日中はスモークシールド、早朝や雨天時、夕方以降はクリアシールドに交換して走るのがあたりまえだった。だがいつも最適な状況でシールドを使い分けていたわけではなく、太陽が昇り始める時間帯は眩しさに耐えながらクリアシールドでやり過ごし、トンネルではスモークシールドを開けるなどの妥協を強いられていた。
陽も高くなってきたので、シェードを下げてスモークシールドとして使ってみる。わざわざ路肩に停まってシールドを交換するわずらわしさはなく、信号待ちの2~3秒もあれば十分だ。山間部での急な雨にも、レインコートを着用しながらサッとシェードを上げるだけですぐに出発準備が整うのは驚かされた。この日は幸か不幸か、晴天雨天、トンネルや高速道路と、考えられるほとんどのシチュエーションを体験できる日になった。刻々と変化する状況は『プロシェードシステム』の使い勝手の良さと完成度の高さを実感するのに最適だったのだ。
聞けばアライヘルメットの社長以下スタッフの方々は、普段の街乗りからツーリングに至るまで、徹底的にバイクを楽しむ「バイク乗り集団」らしい。日々バイクと接することで、「こんなモノがあったらいいな」などの要求や疑問が生まれ、そこから新製品開発がスタートしていることが想像できる。
そしてこの『プロシェードシステム』において、最も感心させられたのは、既存のアライのフルフェイスヘルメットに加工することなく、シールド交換だけで装着できるという点である。この辺りも「バイク乗り集団」だからこその配慮だと思われる。そもそもヘルメットの第一義が安全性であるのは間違いない。しかしそれだけでは、ヘルメットは進化してこなかったはずだ。真の安全性を追求する企業姿勢があったからこそ、利便性を求めたオプションパーツが生まれて来た。そして、ヘルメットの可能性を広げてきたから、この製品が誕生したのだろう。
最後にひとつ、別売の『SAIブローピンロックシート』は必需品であることをお伝えしたい。雨天時や湿度の高いトンネル内を走行すると急にシールドが曇ることがある。通常のシールドであれば少し開けることで曇り具合を調節していたが、安全性を損なわぬためにも、ぜひとも装着していただきたい。ツーリングシーンで『プロシェードシステム』を最大限に活用してもらいたいから。