日頃、クルマやレースについて伝える側のメディア関係者が自らステアリングを握るマツダ「メディア対抗ロードスター耐久レース」。
30年以上の歴史を持つこのレースに、今年、『ahead』チームからは2名の慶應義塾大学体育会自動車部の学生が参加する。時代を担う若い人たちに、自ら体験したモータースポーツの楽しさや厳しさ、素晴らしさを発信してもらいたいという思いから、特例として参加が許された。10月3日に行われるレースへの参戦を目指すふたりの学生は、どんな気持ちでチャレンジしようとしているのだろうか。
主将 西村京夏
この度メディア対抗ロードスター耐久レースに参加させていただくことになり、弊部は湧き立っています。なぜなら、学生のレースは1台ずつスタートを切ってタイムを競うジムカーナやダートトライアルが中心で、複数台が並走し、フルコースのサーキットで走ることもないので、今回は私たちにとっては初めて尽くしなのです。
私は大学生になって初めてクルマのハンドルを握りました。入学後すぐ、勧誘されるまま向かった練習場の横乗り体験で、これはまさに求めていた新しい世界! と入部を即決。スピード感、タイヤの横滑り、先輩のハンドルとクラッチ操作の素早さに高揚しました。
しかし、カッコ良さへの憧れ一色で入部した私を待っていたのは、油まみれの車両整備と遠征続きの、予想外に泥臭い毎日でした。夏迄に普通免許も取らなくてはならず、1年生前期のキャンパスライフは教習所通いに打ち込み、12月の早慶戦で選手デビューを果たしました。
毎日、無我夢中でクルマに向き合うほどに自分のreason why がクリアになり、先輩方から猛特訓を受けて少し手応えを感じた頃、弊部の悲願だった35年ぶりに女子総合優勝が見えてきました。その年(’24年)は男女共に総合優勝、昨年は女子2連覇を果たし、本年も再び総合優勝を目指して、熱い日々を送っています。

弊部では競技車4台を試合に合わせて部員全員で作り上げます。不具合が出たり、壊れることも度々で、もう絶望的だと思う瞬間もありましたが、先輩方の指示に従って壊れたクルマが徐々に息を吹き返し、試合直前に復活した時は感無量です。実際に競技に出られる選手は限られており、選考に漏れてしまう部員もいます。しかし部員全員の力を結集しなければ、準備を含めた競技活動の全てを全うすることは出来ません。
だからこそ皆で作り上げたクルマをスタートラインに送り出す部員の熱い思いと、この思いを受け止めて最大限の努力で報いる選手のバランスを整え、全ての部員のモチベーションを常に高い位置に保つことがとても大切だと考えています。
メディア対抗レースという学び多き挑戦で得ることを今後の私たちの新たな推進力にし、継承していきたいと考えています。

上野亜斗瑠
このたび、伝統あるメディア対抗ロードスター耐久レースに、チームの一員として参加するという素晴らしい機会をいただき、心から感謝しています。
僕の人生には、記憶がないほど幼い頃から、常に身近にクルマ、そしてモータースポーツがありました。レーサーである両親の元に生まれた僕にとって、サーキットは1番の遊び場でした。他の子どもたちが布団で眠る中、僕が一番好きで一番ぐっすり眠れる場所は、父と母のクルマのバケットシートでした。硬くてホールド感の強いシートに収まり、ガソリンの匂いを感じ、振動を受けながら眠る。それが僕の原体験であり、物心ついたときにはもう、クルマが大好きで大好きでしょうがない少年に育っていました。
その熱は年齢とともに加速し、高校から自動車部に入部。免許取得後はさらに本格的にモータースポーツの世界へのめり込みました。高校生の頃からドリフトの大会にも出場し、常にモータースポーツという真剣勝負の世界に向き合い続けてきました。現在は大学自動車部で日々仲間と切磋琢磨し、部のエースとしてチームを引っ張っていく立場を任されています。
この部活動の経験を通して、「部のみんなで一丸となって勝ちたい」という想いが僕の中でより一層強くなりました。モータースポーツはドライバーの個人競技に見えがちですが、メカニックや仲間のサポートがあって初めてスタートラインに立てます。チーム全員で苦労を乗り越え、共に掴み取る勝利の喜びは、一人で勝った時の何倍にもなるのです。
そして同時に、このモータースポーツの楽しさ、クルマを操る純粋な面白さを、もっと多くの人に伝えていきたいという、もう一つの強い思いがあります。
だから、今回のメデ耐への参戦は僕にとって最高の舞台です。
3時間という長丁場をチーム全員でタスキを繋ぐ耐久レースには、チームで勝つことの醍醐味がすべて詰まっています。マシンを労り、仲間と一体となってチェッカーフラッグを目指す。
そこにロードスターという、クルマと対話しながら人馬一体となって操るピュアスポーツカーが組み合わさる。これほどワクワクするシチュエーションはありません!
大学生ならではの若さと情熱、そして自動車部のパワーを武器に、必ずチームに貢献したいと思っています。ぜひ、熱いご声援をお願いいたします。

