奇しくも今回紹介する4台はすべてマイナーチェンジモデルになった。
かつて日本車は4年毎にフルモデルチェンジしていたが、最近では欧州メーカー並みの6年とか8年に伸びてきている。結果としてマイナーチェンジモデルを紹介する機会が増えた。
年々複雑化する開発がモデルチェンジサイクル長期化の理由だが、もう一点無視できないのが「働き方改革」の影響だ。1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えて働く場合は労使で協定を結び、労働基準監督署に届け出ることを義務化した三六協定や、2019年に始まった「時間外労働の上限規制」など、日本の労働条件は急速に改善された。しかしその一方で、驚異的な開発スピードで猛追してきている中国メーカーへの対処という点ではマイナスに作用している。もちろん労働環境改善は悪いことじゃない。しかし、結果として管理職への過大なしわ寄せや、外部企業への設計委託による内部技術の低下といった問題も起こっている。何より、「もっと働きたいのに働かせてもらえない」という若いエンジニアの声を聞いて、果たしてこのままでいいのかと考え込んでしまった。夢中になれる何かを見つけると人は並外れた力を発揮するものだ。しかしいまの日本はそういう力を上手く活用できていないのではないか。嫌々働かされるのはごめんだが、働きたいのに働かせてもらえないのもまた不幸である。そもそも資源のない日本が諸外国と戦っていくには個々の能力を最大限に引き出すことが不可欠。なのに、それができていないように見えるのは大きな問題だ。
米国は州にもよるが基本的に時間外労働の上限はない。有給休暇の取得義務もなければ労働組合の力も日本と比べるとかなり弱い。そして近年、アメリカ人はハードワークに回帰しつつある。いまだにノンビリしているのは日本と欧州だけである。24時間365日戦えとはいわない。けれどイノベーションや国際競争力を保つにはある程度のハードワークも必要だ。拘束時間ではなく成果型評価への移行や、研究職への例外領域拡充など、働き方改革もそろそろ見直しの時期に来ているのではないだろうか。
Goro Okazaki