静岡県裾野市に建設中のウーブンシティがメディアに公開された。
今回竣工したのはフェーズ1と呼ばれる4万7,000㎡で、今年秋以降にトヨタ関係者が段階的に入居を開始。約360人が暮らす予定だ。将来的には合計29万4,000㎡に2,000人が入居する。
とはいえ、トヨタが不動産デベロッパーになったわけではない。ウーブンシティに与えられた役目は「未来のモビリティのテストコース」である。アメリカや中国ではすでに自動運転タクシーが走っているが、規制が厳しい日本では公道での実証実験をするのが難しい。だったら実際の街を作ってしまおう、というのがトヨタの狙いだ。ウーブンシティはすべてトヨタの敷地であり外部の人が勝手に立ち入ることができないため、道路交通法の適用外。テストコースで時速200㎞で試験走行ができるのと同じ理屈だ。
自動運転以外の分野でも様々な取り組みをする。すでに決まっているのはエネオス、NTT、リンナイ、UCCジャパン、ダイキン工業、ダイドードリンコ、日清食品、Z会といったところ。具体的なことはまだ未発表だが、参加企業と住民の間で様々な社会実験が行われる予定だ。たとえばダイキンは住民と協力して花粉症対策の実験に取り組む。UCCは先日の取材会でエネオスが供給する水素で焙煎したコーヒーと天然ガスで焙煎したコーヒーの飲み比べを実施し、スマホを使ってどちらが美味しいと感じたかのアンケートをとっていた。
ウーブンシティでは、現時点でも参加企業を募集している。大企業でもスタートアップでもOK。やりたいことを添えて自薦し、審査に通れば、ウーブンシティを運営する「ウーブン・バイ・トヨタ」の支援とともに社会実装に向けた取り組みをしていくという建て付けだ。
正直、ここからどんな新技術が生まれてくるのか、僕にはまだ見えていない。けれど、国がやってくれない以上、自分たちがでやるしかないというチャレンジ精神はとても素晴らしいし、こうした取り組みを応援する雰囲気をメディアの一員としてつくっていきたいと思う。
Goro Okazaki