アウトランダーPHEVを電源にしてキャンプする? いやいや、キャンプとは自然と戯れるものであって、電気なんて使ったら、あえて不便さを楽しむためのイベントが台無しになってしまうのでは?
なんて思いが一瞬よぎったが、キャンプが苦手な私にとっては、そんな便利なことができるのであれば、それは願ったり叶ったりだ。ということで、アウトランダーPHEVで日帰りキャンプ、というよりもアウトドアブランチに出かけて、その実用性を体験することとなった。
アウトランダーPHEVのバッテリー電力を取り出せる100VのAC電源のコンセントは、フロアコンソールの背面とラゲッジルームの2ヵ所に設置され、合計で最大出力の1,500Wまで使用できるとのこと。ということは、コーヒーメーカーとホットプレートくらいなら同時に使えるはず! と今回持って行ったのは、650Wのペーパードリップ式コーヒーメーカーと、800Wのホットプレート。消費電力は合計1,450Wとギリギリセーフ。どちらかを諦めるか、同時に使わなければご飯も炊けるかもしれないが、今回はお手軽にバゲットをつまみながら楽しむ簡単ブランチとすることにした。テーブルをセッティングするとなると延長コードは必須。バッグドアを開けっ放しにしてラゲッジルームから電源を取り、とりあえずコーヒーを落としてみる。なんというか、普通に出来上がってしまった。クルマから電源を取るとなると、電力の関係でいつもより時間がかかるのかな? なんて原始的な想像をしていたのが恥ずかしくなってしまった。安心してホットプレートの電源を入れ、ウインナーを並べて卵を落とす。まぁこちらも当たり前だが、問題なく普通に焼けた。
火をおこすこともなく、パーコレーターを見守るでもなくドリップコーヒーが出来てしまうというのは便利すぎて、アウトドアに来ているはずなのに、家のベランダやオープンカフェでくつろいでいるような感覚になる。AC電源使用時に、駆動バッテリーの容量が少なくなると、自動的にエンジンが始動して充電を始めてくれるとのことなので、使いすぎの心配もない。キャンプじゃなくても、モトクロスコースやサーキットに行ったときに、これが1台あったら便利だろうな、と素直に感動してしまった。寒い冬に温かい飲み物や食べ物が近くにあるというのは、この上なく幸せなことだから…。
普段の生活はバイクオンリーで、クルマにはほとんど乗らないクルマ音痴の私にEVの便利さを教えてくれたのは、日本EVクラブの舘内 端さん。遊びにもEVの電力は使えるが、震災時にもその威力を発揮するのだそうだ。震災の停電時に、日産リーフ1台でスマートフォン約6,500機分の充電ができるそうだ。またV2H(ヴィークルトゥホーム)機器が設置されていた病院で人工透析を行うことができたという話もあり、社会的にもその重要性に注目が集まっているとのこと。停電している暗闇の中に明かりを灯し、災害時に一番に必要とされる情報を収集する手段が、クルマからの電源によって得られるというのは心強い。
アウトランダーPHEVでも、カタログによると、満充電の状態なら最大約1日分、エンジンでの発電を組み合わせたら、ガソリン満タン状態で、家で使う電力の最大約10日分を供給できるとのこと(1日当たりの使用電力量を約10KWh/日として算出、V2H機器等の変換効率は含まず)。災害時、家庭内で使う電力を必要最低限に抑えたら、復旧するまでの2、3日であれば、余裕でまかなえてしまえそうである。
アウトランダーPHEVでのキャンプは思っていた以上に快適だった。火が起こせない場所でも火を使う心配をせずともよく、風が強い日でも苦労知らず。コーヒーメーカーやエスプレッソマシンを用意して積んでいけば、どこでも美味しいコーヒーが楽しめる! そんな〝ステキ生活〟を妄想してしまったのであった。
ミツビシ アウトランダーPHEV
総排気量:2,359cc
車両重量:1,900kg
最高出力
[エンジン]94kW(128ps)/4,500rpm
[モーター](前)60kW(82ps)/(後)70kW(95ps)
最大トルク
[エンジン]199Nm(20.3kgm)/4,500rpm
[モーター](前)137Nm(14.0kgm)/(後)195Nm(19.9kgm)