モタスポ見聞録 vol.14 富士に24時間レースが復活

文・世良耕太

 富士スピードウェイに24時間レースが帰ってくる。それも50年ぶりに。開催されるのは、『ピレリ スーパー耐久シリーズ2018 第3戦 富士SUPER TEC 24時間レース』だ。

 開催期間は5月31日(木)~6月3日(日)で、31日は専有走行と夜間練習走行を実施。1日はフリー走行と予選、2日にウォームアップ走行を行うと、15時に24時間レースのスタートが切られる。

 スーパー耐久シリーズは、市販車ベースの競技車両で行われる点はSUPER GTと共通しているが、スーパー耐久の方が市販車寄りで改造範囲は小さい。ただし、名称を「N1耐久」から「スーパー耐久」に変更した’98年以降は、SUPER GT寄りの高性能な車両にも門戸を広げている。例えばST-Xと呼ぶクラスは、GT300クラスにも参戦できるFIA GT3 規格の車両が対象。ST-TCRは近年勢力を伸ばしているFIA TCR車両が対象だ。

 その一方で、トヨタ86やマツダ・ロードスター、はたまたホンダ・フィットやマツダ・デミオが走り回る。参戦車両の動力性能や運動性能のレンジが広く、有り体に言ってカオス状態。上位クラスではプロがステアリングを握ったりもするが、基本的にはアマチュアドライバーを主体とすることもあり、ドライビングスキルの面でもレンジが広く、そこがスーパー耐久の魅力となっている。

 スーパー耐久シリーズは’94年から’08年まで、十勝スピードウェイで24時間レースを行っていた。そのため、スーパー耐久としては10年ぶりの24時間レース開催となる。一方、富士スピードウェイにとっては50年ぶりの開催で、’67年4月と’68年3月に開催されている。’67年の大会は日本初の24時間レースとして開催され、細谷四方洋/大坪義男組のトヨタ2000GTが勝利を飾った。

 富士スピードウェイは「富士24時間」を「耐久の富士」を象徴するレースに位置づけるだけでなく、「日本の耐久レース」として世界に発信したいという思いを抱いている。フランスのル・マン24時間はあまりにも有名だが、近年はドイツのニュルブルクリンク24時間が、「世界最大の草レース」として人気を集めている(実際には自動車メーカーやプロドライバーが大挙して参加しているが)。富士もその仲間入りを目指そうというわけだ。「日本唯一の24時間レースとして、地元と一緒に盛り上がれるお祭り行事にしたい」と関係者は思いを語る。「そのために『小川町モータースポーツ協力会』という協力支援体制を設置していただきました。世界に発信できる一大イベントに育てていきたいと思っています」

 24時間レースがスタートする2日から3日のゴールまで、サーキット内に滞在することが可能。バーベキューや宿泊が楽しめるキャンプヴィレッジの用意もある。「楽しんでください」と言わんばかりだ。

ル・ボーセモータースポーツはこのレースに、嵯峨宏紀、山下健太、宮田莉朋に加え、平手晃平、石浦宏明を起用することを発表。強力な布陣で優勝を目指す。プロのレーサーも参加するとなれば俄然、盛り上がりそうだ。(写真提供:ル・ボーセモータースポーツ)

「ピレリスーパー耐久シリーズ2018 第3戦 富士SUPER TEC 24時間レース」は6月2日(土)スタート・3日(日)がゴール。チケットの入手方法等詳しくはHPヘ。

http://www.fsw.tv/motorsports/race/07/index.html

Kota Sera

ライター&エディター。レースだけでなく、テクノロジー、マーケティング、旅の視点でF1を観察。技術と開発に携わるエンジニアに着目し、モータースポーツとクルマも俯瞰する。

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