フォーミュラEのシーズン2(2015-16年)が7月2日~3日に開催されたロンドンラウンドで終了した。
ダブルヘッダーで行われた第1レースは、ニコラ・プロスト(アラン・プロストの息子)が優勝。ブルーノ・セナ(アイルトン・セナの甥)が2位に入り、ファミリーネームだけで表現すれば「プロストとセナのワンツー」が実現している。ちなみに、シーズン1のチャンピンであるネルソン・ピケの息子(ネルソン・ピケJr.)は14位だった。
セナやピケJr.もそうだが、F1を経験したドライバーを拾い上げると、N・ハイドフェルドはシーズン1から参戦中。シーズン2のランキングは10位だった。モナコGPウィナーのJ・トゥルーリはチームオーナーとして参戦していたが、資金難からシーズン2序盤で撤退した。’97年F1チャンピオンのJ・ビルヌーブはフル参戦するつもりでシーズン2に臨んだが、成績低迷からシーズン途中でシートを喪失。シーズン3でのシート獲得に向けて活動中だ。
シーズン2のチャンピオン争いは、S・ブエミとL・ディ・グラッシの現役WECドライバー対決となった。両者ともF1を経験している点で共通している。ディ・グラッシが3点リードして最終戦を迎えたが、ブエミがポールポジションを獲得したため、同点に並んで決勝レースを迎えた。ところがスタート直後、3番手からスタートしたディ・グラッシがターン3でブエミを巻き込むようにしてコースアウト。両者ともに、マシンを大きく破損させてしまった。
何とかピットに戻り、充電済みの車両に乗り換えたふたりは、ファステストラップを記録したドライバーに与えられる2点を手に入れるため、タイムアタック合戦に入った。白熱したこの勝負を制したのはブエミで、前年は1点差で逃したチャンピオンの座を手に入れた。
チャンピオンの栄誉を手にするためなら相手を押し出してでも目的を叶えようとするのは、セナプロの時代からF1ではしばしば見られた光景だった。タイトル獲得の執念がディ・グラッシをして、ブエミを押し出す行為に走らせたのだろうか。レース後、ブエミは喜ぶより先に「こんな勝ち方はしたくなかった」と語って嘆いた。
元F1ドライバー鈴木亜久里の名を冠したチーム・アグリはシーズン1から参戦を続けていたが、シーズン2最終戦を最後に撤退した。日本企業のスポンサードを期待しての参戦だったが、反応は極端に鈍く、苦渋の決断となった。替わって、シーズン3には中国資本のTecheetahが参戦する。NEXT EVに続き、中国チームは2チーム目だ。シーズン3からはジャガーがワークスチームとして参戦するが、元をたどればインド資本。インド資本のチームはマヒンドラ・レーシングに続いて2チーム目となる。中国やインドにやられっぱなしでいいのか日本、という気がしないでもない。
Kota Sera