専用フロントグリルやバンパーが、上品な雰囲気を演出するボレロ。シートは様々な色使いで織られた繊細なボーダー柄を採用しており、インテリアのカラーコーディネートもエレガントに仕上げている。
価格:¥1,570,320(2WD/税込)
問い合わせ:オーテックフリーコール 0120(116)527
スマホにカバーを着けるように、周りの人とひと味違うアイテムにカスタマイズすることには積極的でも、「じゃあクルマは?」と問われると答えに詰まってしまう。
“クルマのカスタマイズ”という響きが、どうも自分の趣味やセンスと違うんじゃないか、マニアックなんじゃないかと連想させるからだ。カスタムカーを手掛けるオーテックジャパンで正直に伝えてみたところ「その壁を女性にどう理解してもらえるのか、私たちも悩んでいるところです」(広報担当・髙木祐美さん)との答えが返ってきた。
日産の子会社であるオーテックは、ベースである日産車の良さを生かしつつ、デザインや走行性能、質感をさらに高めたカスタムカーを提供する会社として知られる。同じく日産直系でパーツも扱うモータースポーツブランドのニスモに比べ、軽自動車からミニバン、SUV、EVといったより幅広い車種を完成車の形で販売しており、企画から開発・生産・販売・アフターケアまでを社内一貫体制で行うのが特徴だ。
全国の日産ディーラーで日産車と同じ保証内容でクルマを購入できるため「人と同じじゃつまらないけど、詳しくないし色々不安」という初心者でも安心してカスタムカーを楽しめる。車種にもよるが、安いものでベース車両プラス15万円くらいというから、敷居もそれほど高くない。
ではデザインはどうかといえば「独自のノウハウをもとに、ベース車のラインを壊さないバランスを計算しています」(マーケティング担当・岩田優子さん)とのこと。その言葉通り、存在感はアップしているものの、カスタムカーにありがちな“行き過ぎた感”はない。またベース車との差別化を図るために、顔の部分(フロント)からエンブレムを外しているモデルも多い。
代表的なのが右の「ボレロ」(ベース車はマーチ)。エンブレムがない分、クラシック風で高級感のあるスタイルが引き立ち「どこのクルマだろう?」とつい目で追ってしまう。輸入車からの乗り換えや女性からの支持が高い一台だそうで、街で見掛けた女性が、ツイッターに手書きのイラストをアップし「このクルマの車種が知りたい!」と呼び掛けたというエピソードもあるほどだ。
「“カスタムカー”という言葉には一歩引いてしまうけど、女性って心に引っ掛かかれば、素直にいいと思えるんですよね」(髙木さん)。
確かにそういうところはあるかも。カスタムカーに多少抵抗はあっても、例えば日産車のカタログの中のオーテックデザインに目が止まったり、街中でいいなと思ったクルマがたまたまオーテック車だったりしたら、先ほどまでの“色眼鏡”は一気にどこかへ吹き飛んでしまうだろう。
そこでこうした感覚派との接点を増やそうと、オーテックでは女性向けのPR活動にも力を入れ始めている。ウェブ上のコンテンツ「ソラシドライブ」では、美容やドライブ情報、オーテック車の試乗記などを発信中だ。できるだけ専門的な用語は避け、言葉を置き換えたり内容を噛み砕いたりと地道な作業が続く。女性向けにアピールしたいから女性仕様車を作りましょう、というような分かりやすさよりも、オーテック車の存在をどうすれば受け入れてもらえるか、に知恵を絞るところに誠実な姿勢を感じた。
これらのコンテンツ制作にも関わる岩田さんは「ファッションと同様に、クルマを選べる環境が身近にあることを伝えていきたい」と目標を語ってくれた。そのためにも、カスタムカーの壁を女性にどう理解してもらうか、悩みながらも熱い取り組みが続いている。
「ソラシドライブ」
www.a-editor.jp/SORASEADRIVE/