編集前記 Vol.19 華音チャンネル

文・ 神尾 成

前回に続きYouTubeについて書くことをご容赦頂きたい。

 僕らの世代はYouTubeをほとんど観ない人と、よく観る人に大きく分れるように思う。それに視聴するにしても若い人のようにスマホやタブレットではなく、テレビの画面で観ることが多いので、テレビ的な動画を好む傾向があるらしい。僕自身もクルマやバイク、音楽やガジェットの情報以外でチャンネル登録しているのは、ストーリー性のあるドキュメンタリー的なものがほとんどだ。

 なかでも外国人を介して日本の良さを再発見する動画が好きで、海外からの旅行者を日本食でもてなして反応を撮影する動画や、来日した外国人が日本の文化を体験していくドキュメント動画などをチャンネル登録している。他にも日本人が海外へ行って、現地の人とコミュニケーションしていく様子を見ながら英語が学べる「英語系YouTube」と呼ばれるジャンルの動画もよく観ており、その中で開設当初からチャンネル登録しているのが『華音チャンネル』だ。

 『華音チャンネル』は、イギリスのロンドンに住む日本人女性YouTuberの「カノン」が海外の人たちにインタビューしていく動画がメインで、若い人たちだけでなく子供や老夫婦、中年のホームレスにまで声を掛けて軽快なテンポの会話を繰り広げていく。それ以外にも日本と海外の常識の違いを検証したり、ヨーロッパ各地を観光する動画も手がけている。そして彼女はクルマが好きでフェラーリやポルシェ、ランボルギーニの博物館を紹介する動画や、ニュルブルクリンクをプロドライバーと共に走行するチャレンジ動画まで制作しているのだ。

 この「カノン」こそ次世代ジャーナリスト企画で度々登場している華音さんだ。パンデミックを機に拠点を日本に移してYouTubeを続けながら今はモータージャーナリストを目指している。これまで彼女は異国の地で企画を発案して撮影から動画編集までを1人でこなしてきた。さらに英語が堪能で国際感覚と類いまれなコミュニケーション能力も備えている。彼女のような現代に即したクリエイターが、これからの時代の新たなモータージャーナリストになると思うと楽しみでならない。

神尾 成/Sei Kamio

2008年からaheadの、ほぼ全ての記事を企画している。2017年に編集長を退いたが、昨年より編集長に復帰。朝日新聞社のプレスライダー(IEC所属)、バイク用品店ライコランドの開発室主任、神戸ユニコーンのカスタムバイクの企画開発などに携わってきた二輪派。1964年生まれ59歳。

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