Another Sky アナザースカイ ~aheadフィルムとSDGs

アナザースカイとは、もうひとつの故郷という意味や、あこがれの地という意味合いを持つ和製英語だ。

今年20周年を迎えたaheadは、第二の故郷を創るべく「aheadフィルム」事業を本格的に始動させた。

昨今、注目を集めるSDGsにつながる「aheadフィルム」とはどういったものなのか、様々な角度から紐解いていきたい。

紫外線(UV)・赤外線(IR)・可視光線透過率(VLT)を測定して数値化できるテスター。フィルム単体での測定に用いられる。

aheadフィルムとは何か

文・世良耕太 写真・渕本智信

紫外線100%カット、赤外線99%カットを謳うaheadフィルムについて、F1を始めとする自動車技術解説の第一人者であるモータージャーナリストの世良耕太が解説する。

 「株式会社ahead」は、SDGsソリューションカンパニーとして、超高機能ウインドウフィルムを開発・販売している。ウインドウフィルムの普及が、持続可能な開発目標SDGsの目標達成に貢献するとの考えからだ。17ある持続可能な開発目標のうち、目標3「保健」、目標7「エネルギー」、目標8「経済成長と雇用」、目標11「持続可能な都市」、目標13「気候変動」に対して、有効なソリューションとなる。どのように貢献するのか、その理由を明らかにしていこう。

 aheadフィルムの特徴は次の3つだ。

① 紫外線カット100%
② 赤外線カット最高値99%
③ ヘイズ(白濁)のない高透明度

 aheadフィルムは堂々と、日焼けの原因になる紫外線カット(UVカット)率100%をうたう。99%でも十分ではないかという考えもあるだろうが、1%の違いが非常に大きい。紫外線カット率99%では肌への影響を完全に遮断することはできない。だから、カット率100%であることが重要なのだ。aheadフィルムは、この高性能を公的第三者機関による計測データとして客観的に示すことができる。

赤外線を照射して空間温度の上昇を測定するテスター。片側にだけフィルムを置くことで遮熱性能と空間温度上昇の違いを数値化できる。さらに手を入れることで体感することも可能。

 そして赤外線カット(IRカット)は暑さ対策に効く。太陽光によって発生する車内の熱には2つある。「空間熱」と「直射熱」だ。空間熱は文字通り、車内空間の熱である。これは、エアコンの温度を下げることで抑制できる。一方、直射熱は、乗員が太陽光を浴びることによって顔や腕に発生する熱である。これはエアコンでいくら空間の温度を下げても解消しない。夏場エアコンの吹き出し口を顔に向けて冷風を当てるのは、まさに直射熱を下げたいからだ。運転席や助手席の人はこれができても、後部座席にいる子供たちはそれができず、汗をかいてぐったりしていることがある。これは直射熱によるものなのである。これを抑制できるのが、ウインドウフィルムの赤外線カット機能であり、直射熱を大幅に遮断して、人や物の表面温度が上がるのを抑える効果がある。

 だが赤外線カット率99%の表記に関しても注意が必要だ。同じ99%でも性能に違いがある。赤外線の範囲のうち、どこか1点でもカット率が99%に達していれば、その他の波長域は広い範囲でカット率が低くても、赤外線カット率99%と表記するからだ。同じカット率99%でも、広い範囲で赤外線の透過を大きくカットしているフィルムもあれば、狭い範囲でしかカットしていないフィルムもある。

 aheadフィルムは前者で、赤外線領域の広い範囲で高いカット率を実現している。だから直接熱を遮断する効果が極めて高く、エアコンの効きを感じられる快適な環境を作り出すことができる。さらにエアコンの負荷低減につながり、それが燃料消費の削減(=環境負荷低減)につながる。赤外線カットの性能に関しても紫外線カット率と同様、公的第三者機関による計測データを示すことが可能だ。

クルマのウインドウの室内と屋外とをマグネットで挟み込むことで測定するテスター。実際にフィルムをクルマに装着した際の測定用。

 3つめの特徴であるヘイズ(白濁)は聞き慣れない用語だが、合成樹脂のPET(ポリエチレンテレフタレート)で出来たウインドウフィルムはその化学的特性から、白濁が問題になりがちだ。aheadフィルムは機能性フィルムでは解消が困難といわれていたヘイズを激減させ、極めてクリアな視界を確保する。

 日焼け防止に高い効果を発揮し、暑さを抑えて快適性の向上を約束するだけでなく、環境負荷低減にもつながるのが、aheadフィルムの大きな魅力だ。


aheadフィルムとは何か 世良耕太

定期購読はFujisanで