名前だけ同じDEFENDER、と鼻で笑っているつもりだった。
本誌2021年10月号に、当時デビューしたばかりの現行DEFENDERの記事を書いた。その時から素晴らしい出来のクルマだとは思っていたが、私は旧型DEFENDERの、68年間続いた無骨でいて恒久的なデザインを愛し、限定アニバーサリーモデルを中心に5台所有しているので、現行DEFENDERを今の型式のうちに購入することは、全く考えていなかった。淡く、2世代ほど後になったら身体の変化により選択するのかな、と遠く考えていた。それが、だ。
戸狩温泉スキー場を私が取得し、初めての冬季営業開始に向け準備をしている中で、山頂へゲストをお迎えするクルマとしてジムニーを購入したことは、昨年ここに書き記した。ジムニーの走破力に助けられた数ヵ月だったが、購入目的であるゲストを乗せスキー場を案内したのは、たった1回しかなかった。それは後部座席が狭く、成人男性4人が乗ることは難しかったからだ。
途方に暮れていた私は、現行DEFENDERについて耳を挟むことになる。それは、いつもお世話になっているランドローバー調布の営業担当者から、DEFENDER130は、大人7人が快適に座れるスペースがある、と聞かされたことだった。1度に大人7人を運ぶことができ、オフロード性能に疑いのない車種、これ以上の選択はないと、すぐオーダーさせてもらったのが11月であった。そこから納車を指折り楽しみにしているうちに、私のゲレンデに雪が降り始めた。スキー場経営としては嬉しいことだが、DEFENDER130の購入が遅かったのは間違いない、その真実もすぐに深い雪で覆われていった。DEFENDER130は営業が始まる1週間前に納車されたが、その頃には残念ながらキャタピラの雪上車や圧雪車でないと、ゲレンデには登れなくなっていたのだった。

納車してほどなく大人7人で戸狩から長野と新潟の県境にある豪雪地帯へ古民家を見に行くことになった。アプリでは反映されていない積雪による通行止めも考えられる地域なので、DEFENDER130ならば快適な現代SUVだからいいだろう、その程度に思い、皆をクルマへ招いた。
2列目のシートがキャプテンシートになっていることで、3列目にスムーズに移動できる。電動ステップが装備されたこともあり、後部座席に5人の大人がスムーズに収まった。運転席に座ると、目線は旧型と変わらない見慣れた高さだ。目線を横に移動させると、旧型にはなかった助手席のDEFENDERの文字。何度見ても私の心をくすぐる。7人も乗っている車内は常に誰かが話している状態だが、運転席と3列目に座る人との会話がスムーズなことに驚いた。低回転で回るエンジン音はわずかにしか聞こえてこず、高い静粛性は友人との会話を滑らかにさせる。重いディーゼル音と振動が、出ている速度と比例しないクラシックなDEFENDERに慣れていた私には、発売当初この心地よさが受け入れがたかったのだが、こうして乗っていると快適で手放せなくなる。車内幅もヘッドクリアランスも大きく取られているが、ラゲッジスペースも大きく確保されていて、機動力も高い。新型にハードコアな部分は何一つなく、そこを旧型と一つ一つ比べる私だったが、後部座席にぎっしり乗った大人たちのくつろいだ笑顔が、DEFENDER130のストレートな評価なのだろう。
走りも一新した。一体成型のアルミ合金モノコックへ生まれ変わったDEFENDERの構造は、加減速はもちろん、段差で捻れを感じたり、ボディのリアが遅れてくるようなことはない。車体は大きいけれど一体感があり操作しやすい。同価格帯のSUVセグメントであるメルセデスのGクラス、レクサスLXと比較してみると、両車ラダーフレームなのに対し、DEFENDERはシャーシのアルミ化にエアサスペンションと、圧倒的に捻れ合成と乗り心地で優位にいる。乗降時の車高調整だけでなく、走行時や悪路走行での車高変化もDEFENDER130は一つ頭が抜けた存在だ。カタログスペックではGクラス、LXともにトルク、馬力でこのクルマを上回るものの、新設計が有効に作用し、ボトムエンドでの蹴り出しがスムーズだ。数字以上のパワーを感じさせながら、DEFENDER130は私たちを軽快に雪深い新潟の山里へ連れてきてくれた。

クルマを降り、膝まで埋まる新雪をかき分け、1階が雪に埋まった古民家の

Hiroshi Hamaguchi
