昭和100年、戦後80周年にあたる今年を振り返ってみると、やはり日本にとって節目の年だったように思う。
若い方たちを中心に多くの人が自分の国に関心を寄せたからだ。夏の参院選の頃からSNSやYouTubeなどの影響で保守系の政党や政治家が躍進し、終戦記念日の靖国神社は、これまでにないほど人が集まったという。また秋に高市政権が誕生すると若年層の支持率が90%を超え、中国との摩擦が取り沙汰されても全体の内閣支持率は大きく落ちていないと聞く。
別にリベラルがどうであるとか右傾化したとか、そういう話をしたいのではない。戦後になって今年ほど日本という国の歴史や価値、そして政治が話題になったことはなかったと言いたいのだ。4月号の編集前記でも記したが、これまで日本は敗戦を引きずってきた戦後の歴史や、「愛国心」という言葉に対するネガティブなイメージもあって、自国を想う気持ちを公然と示すのは憚られてきた。しかし今年は若い人たちの起こしたムーブメントによって、それが覆されたように感じたのである。
翻って自分たちは、彼らと同じ年代だった頃はどうだったか。日本が今よりも豊かで未来に希望が持てたこともあり、自国のことを他人任せにしてきたことは否めない。さらに言えば上の世代の学生運動の顛末を知っているだけに、どうせ何をやっても変わらないという気持ちから、熱くなることをダサいとする風潮もあった。そして何より自分の意見を発信できて、同じ考えの人と繋がれるインターネットがなかったのだ。
現代はインターネットによって世情が変わっていく。誰もが簡単に情報を深掘りして自分の価値観で行動を起こせるようになった。しかしそれは他人に依存することが許されなくなったということでもある。これまでのように受け身で過ごしていては世の中の流れから取り残されてしまうだろう。ガソリンの暫定税率廃止や自賠責保険5700億円の返金など、クルマやバイクに直接関係する改革も始まっている。我々も“今どきの若者”においていかれないように意識を変えなければならない。
神尾 成/Sei Kamio
