今月号の対談ページ(p6~p9)に登場した浅川邦夫さんとは、かれこれ30年以上の付き合いになる。
そして大鶴義丹氏との付き合いも今年で丸20年となった。しかし彼らは共通の友人が多くいるにも関わらず、今回の企画が初対面となったのである。とはいえ本誌のコラムや二輪専門誌の記事を通して、お互いに相手がどのようにバイクと向き合ってきたのか知っているので、以前から機会があれば2人を引き合わせてみようと考えていたのだ。
それとは別に、「戦後80周年企画」(p36~p41)のドライブ記事の取材で「知覧特攻平和会館」をはじめ、「万世特攻平和祈念館」や「鹿屋航空基地史料館」など、鹿児島県にある特攻隊にまつわる資料館を訪ねた。実はこの企画は10年以上前からあたためてきたもので、夏が近づくと毎年のように鹿児島へいくべきか悩んでいたのである。当時はクルマやバイクを扱う雑誌が、センシティブな特攻隊のことを記事にしても良いのかという葛藤があったのだ。
しかし今回、この2つの企画は長い時間を経て具現化した。大鶴氏からGSX-R1100のレストアが完成した報告を受けたのと前後して、浅川さんが知り合いから同じ型のGSX-Rを引き取ったと聞き、このチャンスを逃すまいと直ぐに対談の日程を決めたのだ。また特攻隊の資料館を巡るドライブ記事においても、「戦後80周年企画」を展開している今年中に掲載しなければ、あとで後悔することになるだろうと鹿児島への取材を敢行した。この2つの企画は長年に渡って機が熟するのを待っていたのである。
これまでも状況やタイミングを見計って企画を寝かせることはあったが、ここまで長い年月を隔てることはなかった。今回、行動に移せたのは、本誌の「OVER50」というサブネームに背中を押されたからだ。年齢の括りを設けたことで企画に対して思いきれるようになったのである。これからも先延ばしにしてきた“魂胆”をひとつずつやっつけていこうと企んでいる。
神尾 成/Sei Kamio