編集前記 Vol.27 最後から2番目の意味

文・神尾 成

先月号からはじまった「最後から2番目のクルマを考える」というページについて触れておこうと思う。

 実はこの企画を思いついた時点では、後悔しないクルマ人生を送るために「終のクルマを考える」にするつもりだったが、終のクルマだと「人生の最後のクルマ」ということになって重い気分になりそうなので、某ドラマをヒントに「最後から2番目」に企画を変更したのだ。それに最後から2番目にすることで、“いつか”という夢物語ではなく現実的な目標を語ることになると考えたのである。

 さらにいえば、この企画の趣旨を早く理解してもらうには、最初は還暦を越えた人が相応しいだろうということと、新しい記事ページを目立たせたいという魂胆から、これまでの2回は「業界でも飛び抜けた60代」に登場していただいたのだが、少しパワフル過ぎる人選だったかもしれない。読者の方々に自分には関係ない話だとソッポを向かれないためにも、今後は年齢も含めて登場人物の幅を広げていくつもりだ。またこの企画は、興味深い人が見つかった時にだけ掲載する不定期連載にしたいと思っている。

 翻って自分自身の最後から2番目のクルマを考えてみると、クルマよりもバイクのことを優先すべきだということに気付いて愕然とした。あと10年足らずで70代に突入してしまうからだ。もちろん70代でバイクに乗っている人は大勢いるし、それが今は特別なことではなくなったと分かってもいる。しかし最後ではなく最後から2番目となると、悠長なことは言ってられない差し迫った気持ちになってしまう。

 そして思いを巡らせて出た答えはスズキのバイクに戻りたいということだった。教習所でGS400と出会って衝撃を受け、免許をとって走り始めたのはGSX400E3だったのだ。その後もスズキのバイクを何台も乗り継いだことから、自分の原点に立ち返りたいという想いが自然と湧いてきたのである。最後から2番目のクルマやバイクとは、歩んできた道のりを振り返って整理することで、少しずつ定まっていくものなのだろう。

神尾 成/Sei Kamio

2008年からaheadの、ほぼ全ての記事を企画している。2017年に編集長を退いたが、昨年より編集長に復帰。朝日新聞社のプレスライダー(IEC所属)、バイク用品店ライコランドの開発室主任、神戸ユニコーンのカスタムバイクの企画開発などに携わってきた二輪派。1964年生まれ60歳。

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