今年も筑波サーキットで『メディア対抗ロードスター4時間耐久レース』が開催された。
今回は次世代ジャーナリスト企画で活躍する2人の若手を入れる布陣としたこともあり、チーム運営をマツダのチャレンジプログラムで講師を務める加藤
加藤彰彬は前職からの知り合いで20年近い付き合いになる。NCロードスターに乗っていた頃は、ジムカーナやサーキットで彼にドライビングを教えてもらっていた。彼のアドバイスは常に的確で、「内側の前輪と外側の後輪だけを意識して二輪車のイメージで走って下さい」、「ハンドルを戻しながらアクセルを開ければスピンすることはありません」など、難しい理屈や余計な言葉を挟まず、ポイントだけを口にするので素直に実行してみようという気になる。しかし上手くいかなくなると、二輪でサーキットを走ってきたことから「バイクだったら」が顔を出した。メディア対抗レースも3回ほど走らせてもらったが、周囲との温度差を考えて今は出場していない。その後ロードスターを手放したこともあって、自然とサーキットで四輪を走らせることはなくなっていったのだ。
先日、加藤と昔話をしていた際、二輪で走れるひとは四輪を舐めて掛かるという話になった。これは二輪ライダーが四輪ドライバーを馬鹿にしているということではなく、二輪より四輪の方が簡単だということでもない。単純に身体を剥き出しにして走ってきた人間が囲まれた場所に入ると、安全だと錯覚して過信した運転になりやすいということだ。あくまでも個人的な見解だが、四輪は理性的な面が重要なのに対して、二輪は本能的な感覚が優先されるように思う。ここがスポーツ走行における二輪と四輪の大きな違いなのだろう。
ともあれ、今年のメディア対抗レースは過去最高順位の2位となった。若手の2人が頑張ったことは確かだが、この快挙は加藤彰彬が短期間で彼らを育てたことと、「TC CORSE」の緻密な燃費計算によるレース戦略がもたらした結果なのである。
神尾 成/Sei Kamio