街中を走っていて、自動車ディーラーに「日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞!」の旗がひらめいているのを見たことはないだろうか。
日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)とは前年の11月1日から当年10月31日までに日本国内において発表された乗用車の中から選考され、例年12月上旬にその年のイヤーカーが発表される。では、どういう経緯を経て、誰が選ぶのか。現状を簡単に説明したい。
主催するのは日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)実行委員である。実行委員は媒体を発行、発売、制作、放送する法人に属する者が務め、運営費は実行委員によって分担される。実行委員はイヤーカーの選考にあたって票は持っていない。したがって実際に票を投じるのは実行委員によって選出された60名を上限とする選考委員である。選考委員に選出されるためには実行委員の過半数の信任を得なければならず、任期は1年、無報酬である。
一方、選考は1次選考と2次(最終)選考の2段階がある。まずはノミネート車(*)の中から選考委員が最終選考に相応しいと判断した10車(テンベスト)を選ぶ。最終選考では選考委員が各々25点の持ち点を対象10車のうち5車に配点する。そのうち最も高く評価する1台に10点を、残り15点をそれ以外の4台に配点する(ただし9点以下)ルールだ。
1980年から始まったこの賞は今年(2018ー2019)39回目を迎える。歴史的には一時、輸入車と国産車を別枠で選考していた時期もあったようだが、2003年以降は輸入車も国産車も区別なく評価している。近年では2013年にフォルクスワーゲン・ゴルフが輸入車で初めてイヤーカーを獲得し話題となったが、さらに昨年(2017年)は、稀に見る複数台での上位接近戦を勝ち抜いてボルボが輸入車として2度目のイヤーカーに輝いた。
実は弊誌も2008年からCOTY実行委員媒体のひとつとなり、私は2017年度から前任者より担当を引き継いだ。
知り合いからよく聞かれるのが、「カー・オブ・ザ・イヤーって信用できるんですか?」だ。また、たまには「選考委員は接待漬けなんですか?」とも。過去のことはあずかり知らぬが、私自身は接待漬けになっている選考委員を知らないし、そういう話を聞いたこともない。それよりもメーカーはまず自社のクルマにできるだけ乗ってもらい、さらにそのクルマをより深く知ってもらうことに力を注ぐ。
選考委員だって、いい加減な選考をするとすなわちそれは自分自身の評価として返ってくるわけだから、彼らにとってもこれは真剣勝負の場なのである。「忖度なく良いクルマを選ぶこと。それがこの賞の存在意義なのです」 これが現実行委員長の信念でもあり、この賞の生命線でもあろう。
日本カー・オブ・ザ・イヤーの公式サイトには歴代のイヤーカーのみならず、受賞理由や、選考委員のコメントなども公表されている。今年のイヤーカーが決定した暁にはぜひ公式サイトを覗いて見て欲しい。すでに10ベストカーは発表されており、最終選考結果は12月7日に発表される。
日本カー・オブ・ザ・イヤー公式サイト
www.jcoty.org