がたごとがたごとという音と共に、ぷーーーっ!!という警笛が鳴りわたり、その度に会話が途切れる。それでも不思議にいらいらすることはなく、かえって微笑ましく感じてしまうのが不思議だ。
ここは江ノ電腰越駅のすぐそば。今は使われなくなった鮮魚屋さんの一角にスタジオ・アレックはある。ギャラリーからは海が見え、すぐ目の前を江ノ電が通る。警笛が鳴るのは、線路上に立ち入ったクルマに注意を促すため。路面電車ならではの光景が繰り広げられる。
そしてギャラリーには、クルマやバイク好きなら立ち止まらずにはいられない作品ばかりが並んでいる。人から教えられてこのギャラリーを知ったのだが、最初、ホームページへ行ったとき時間を忘れた。作品を購入できるだけでなく、気に入った作品に好きなクルマを描いてくれるセミオーダーも可能、と知って興奮した。もし自分の歴代のクルマを絵の中に蘇らせることができたら…と。
イラストの作者はイラストレーターの佐藤彰一さん。ギャラリーのオーナーでもある。もともとはテキスタイル関係の会社でデザインの仕事をしていたが、独立。スタジオアレックを立ち上げて、ポスターやカレンダー、店舗ディスプレイなど幅広い分野で活躍し、彼の描くクルマは、今では自動車メーカーのカレンダーなどにも採用されている。
彼のイラストがクルマ好きの心を掴むのは、やはり彼がクルマ好きだからである。それは話を聞かなくてもイラストを見れば分かる。例えば、赤レンガを背景にしているのは旧いGT-R。例えば、箱根を走るのはAE86。海岸沿いの道で風を切っているのはディーノ246GTs。ここはやはりGTではなくてGTsでなくてはならない。
クルマ好きなら分かる、いやクルマ好きにしか分からない、クルマ好きにとっての〝リアル〟がきちんと表現されているのだ。
佐藤さんのイラストはジークレーという、版を用いずに刷り上げる版画技法を用いており、200年もの保存性があるという。実際にギャラリーでポスターと比較してみるとクオリティは一目瞭然。柔らかで鮮やかだ。佐藤さんがリアルショップを構えるのも、版画作品のクオリティを感じてもらいたいからだ。作品にはすべてシリアルナンバーが付されており、購入すれば文字どおりその作品は世界にひとつだけ。300枚なら300枚。それ以上は剃らないと決めている。ホームページには定期的に新作もアップされるので、ネットやリアルショップを探索するのが楽しみにもなる。
自分の愛するクルマが描かれた〝ホンモノ〟の絵を家に飾ることができたら……。夢が広がる。
スタジオアレック・湘南シーサイド・ショップ
営業時間:11:00~17:00
定休日:月、火曜日(祝日は営業)
*営業日でも雨天、荒天の日は休業の可能性があります。
https://studioalec.jimdo.com/
ネットショップ:https://alecshop.cart.fc2.com/
セミオーダー イラスト:¥90,000~。
詳細はHPからお問い合わせを。