このユニークなノートの持ち主はジムニーのコンプリートカーを手がける「アピオ」の河野社長だ。
アピオのHPには自社で取材撮影した独自の林道ツーリングの記事が定期的にアップされているのだが、時間が許す限り、河野さん自ら取材に同行している。でも、「いつも何か不完全燃焼感があったんですよね」(河野さん) もちろん旅の記録としてデジカメで写真を撮ってはいたけれど、林道の写真はどこもそっくり同じに見えて区別がつかない。せっかく行くのだから、もっとちゃんと消化して記憶に刻みたい。それがこのノートを描き始めるきっかけだった。
まずはクルマで走った道を俯瞰でノートに描く。立ち寄った蕎麦屋とか撮影風景とかを絵にする。そして空いたところに、その時の出来事や感じたことを文章で埋めていく。本人曰く「大したことはしてないんですよ」
それでも、自分の手で描くことによって、そのときの風景や色、空気感、雨だったら湿度感までもが記憶される。一泊であろうと二泊であろうと、この見開きページを開くだけで、そんな〝感覚〟までもがよみがえるようになったという。
実はこのノート。デザインフィルという会社が、〝日常を旅する〟をコンセプトに開発した、その名も「トラベラーズノート」 という商品だ。「僕は昔、旅とは仕事をしながら限られた日数を工面して行くもの、と思っていたんです。でもこのノートがあることによって、日常生活も旅するような気分で過ごせる。それってジムニーがまさにそうなんですよね。この道、面白そうと思っても、大きいクルマだと躊躇してしまうけど、ジムニーなら行けちゃう。ジムニーは心を自由に解き放ってくれるんです」
そんなこともあり、アピオではジムニーの新車コンプリートカーを購入したお客様には、日常を旅する精神的なスターターキットとして、このトラベラーズノートをプレゼントしている。
河野さんのようには上手に描けないかも知れないけれど、真似してみてはいかがだろうか。
1993年のロシアンラリー出場時にオノウエ自動車(現アピオ株式会社)の創業社長、尾上 茂氏と出会い、入社。2005年からアピオ株式会社代表取締役社長。クルマ、オートバイ、旅の他、カメラ、蕎麦、文具など多趣味な事でも有名である。