ゴルフをプレイしたことがある方なら分かると思うが、もっとも難しいのはグリーン上だ。打ち方もパターも自由自在。
といってもパターにはある一定の規格があるが、ゴルフショップに並ぶパターは色々な形状がある。どんなタイプが自分に向いているのか、神のみぞ知る。
そのグリーン上のパターだが、実はテクニック的にはもっとも難しいのだ。わずか直径108ミリのホールに直径43ミリボールを沈めなけらばならないから、わずかな狂いでボールはホールに沈まない。一つのホールで平均2回でカップに入れることができると18ホールで36回。ゴルフのスコアの約半分に近い打数を費やしてしまう。手先の器用な人なら、微妙なタッチで距離感を出すことができるが、方向性も求められる。そこで大切になってくるのが道具だが、パターに関しては道具に対する愛情が重要ではないだろうか。
前置きはこのくらいにして本題に入ろう。個性派のメガネを作ることで知られるアイメトリクス社が独自の技術でパターを開発したと聞いて早速取材してみた。説明を受けた後で試打。第一印象はそのタッチが素晴らしく、いつも使うタイトリストのボールが柔らかく感じた。打った瞬間にボールがパターに吸いつく感触なのだ。こんな経験は初めてである。開発途中、倉本プロのアドバイスでパターにスリットを入れたことで、打感がさらにマイルドになったらしい。
MERGE
問い合せ先:アイメトリクス・ジャパン [マージ・ラボ]
TEL:0266(78)3014
E-mail:merge@eyemetrics.co.jp
URL:www.merge.tokyo(2015年3月1日より)
このパターは完全なオーダーメイドで自分だけのオンリーワンのパターを作ることができる。技術的な特徴は二種類の性質が異なる金属を分子レベルで融合することで、デリケートなタッチが求められるパターの特性を自在に作ることに成功している。その製造に独自の技術が隠されているが、異金属同士の拡散接合はなんと12時間かけて熱と圧力で接合する。そんな手間のかかる製造法は大量生産の時代にまったく無視されてきたが、岩手県の南部鉄器のように「一製品一型」と同じように、一期一会の精神でパターを作るという事業なのだ。聞いているだけで、利益などない製品だと直感するが、究極のモノ作りに挑戦することがアイメトリクスの使命なのであろう。
ところで、最近の自動車も適材適所に様々な素材を使うようになったが、いつも話題になるのは異種金属同士の接合だ。たとえばアルミと鉄を接合しようとすると腐食しやすいという問題が発生するが、今回のような拡散接合が自動車にも使われるようになると、異金属の接合が可能となる。とくに衝突安全ボディの開発には欠かせないだろう。
パターヘッドの形状はピンタイプであったが、マレット型も作れるとのこと。お値段を聞くと一瞬驚くが、パターは一生モノと思えば、買う価値はありそうだ。
Kazuo Shimizu